新米続々入荷中。
僕が勤務している蔵にも、今年も新米が入荷しております。
昨日のブログでは「新酒」について詳しく述べましたが、本日は「新米」について。
新米にも色々種類があって、普段家庭で食べるような「一般米」やら「飯米」と呼ぶものと、「酒米」「酒造好適米」と呼ばれるお酒を造るための専門に栽培されたお米に分けられます。
他にも、製造するにあたって新米には「早生」(わせ)と晩生(おくて)の特徴ごとにもわけられて、各品種ごとに入荷のタイミングを考慮して、どんなタイプのお酒にするのか蔵元が計画を立てるのが一般的です。仕込み計画についてはまた別の機会に詳細を記そうかと思いますが、お米によってお酒の味わいがどう変わるのかについてまずは記したいと思います。
日本酒の醸造工程は、複雑なものがいくつか経て搾られるので、例えば山田錦だからどうこう、五百万石だからどうこうとはっきりと言い切ることは難しいのですが、これこれこんな味わいの傾向になりやすい、という範囲で語るのが無難でしょう。
・山田錦~酒米の王様でありイチローの様な走行守3拍子揃った万能型。しなやかで綺 麗で切れのあるお酒になりやすい。
・五百万石~端麗で繊細な味わいのお酒になりやすい。
・美山錦~シャープでドライな風味になりやすい。
・雄町~どっしり濃厚で、味の幅に特徴あるお酒に仕上がりやすい。
・飯米、加工用米~これといった特徴なないが、麹造りや蒸し米の硬軟の加減で風味がかわりやすい。
以上、有名どころその他のお米についての僕自身の見解です。
造り手は、それぞれのお米のどんな風味になりやすいかを頭に入れながら、精米歩合やその年の夏の気候などを考慮して、同タイプのお酒の毎年の再現性をなるべく持たせられるように仕込みを行うのです。
夏の気候と言いましたが、おおまかに猛暑→硬い米質、冷夏→柔らかい米質になりやすいです。醸造的側面でもう少し掘り下げて説明するならば、暑い夏を過ごした米は基本的に溶けにくいので、味の線が細くきれいな酒質になるだろうが酒粕が多くなってコストがあがることが予想されます。一方、涼しい夏を過ごした米は、溶けやすく味過多になる傾向が強いので、酒粕が少なくなって酒量が増えるがその分ガラの悪い酒になる可能性があることを頭に置いておく必要があるのです。
いずれにしても、どんな季節になろうとも、季節に応じた造りの工程を考えて、実行し、あくまでも造るお酒のタイプ別の香味バランスを重視した造りが要求されることを第一に考える必要があるのではないでしょうか?
ある意味そこが杜氏の腕の見せ所って感じでしょうね。
今年の夏は全国的に7月が涼しく8月が逆に高温が続いて、9月は台風が来て不安定な天候が多かったように思います。
お米の生産者の方々が難しい天候の中、一生懸命育ててくれた新米です。毎年思うことですが、一粒一粒大切に使わせて頂こうと思う今日この頃です。