金賞杜氏の日本酒情報局

日本酒製造現場からの情報発信

杜氏と風邪。

気温がだいぶ冷え込んできました。
本日は、体調管理のお話を。

酒造りの世界では、特に繁忙期は仕込み計画の中で出勤の有無が決定するので、体の健康と心の健康はとても重要な要素の一つとなります。

蔵人はまだ立場的にも受け身ですから、杜氏の指示やプライベートで何かあれば休暇の願いを出せば休みを取れないことはほぼないと思いますが、製造責任者となれば、熱があろうが何だろうが、基本的に造りを行っている中では24時間365日での拘束はやむを得ません。

実は現在、僕、風邪気味なんですが、こういう時も長い造りのシーズンの中では何度かあるのも事実。結局は、その時々の対処の仕方をどうするかがテーマになってきます。

僕の知り合いの蔵では、その蔵の社長さんがインフルエンザにかかっていたのをただの風邪だと勝手に思い込んでしばらく蔵人達と何日か作業をしてしまったばかりに、杜氏に感染し、数人の蔵人にも感染してしまって、結局仕込み予定の改訂を余儀なくされたという話を聞いたことがあります。

別の知り合いの蔵の杜氏さんの話では、たまたま鑑評会の出品酒を造っている最中に同様にインフルエンザに感染してしまい、結局その年の受賞をのがしてしまったという残念な結果につながっということもあったそうです。

シーズン中の体調管理は、それほどシビアな内容に直結しますので、多くの杜氏さん方も神経質になっていることと思います。

僕は先日インフルエンザの予防注射を打ってきました。¥4000の費用は正直厳しいんですが、上記のような状況を最低限回避するための責任と考えてます。ホントは、会社が製造スタッフ全員に費用の負担を申し出てくれると助かるんですけどね。

他の対処方法としては、いかに睡眠時間を確保して、栄養ある食生活を心がけるか。
宿直があったり、夜の見廻りもあるので、限界はあるんですが、やっぱ寝たいっすね。
食事は妻を信頼しております。

あとは、マスクを上手に着用してのどと鼻の保湿を高めたり、人混みにはあえて行かないなど、日常生活を送る中でもどこか世間と隔離されているような意識をあえて持つということもせねばならないと思ってます。

どうしても、ヤバイ時なんかは早めに病院に行くのが気持ちの安心を得るためにも得策と思いますね。

造り手ってね、そうやって日常を送りがちになるとどうしても世間知らずになっていくんですよ。ホントは世の中の様々な様子を体験したり、間近で見たりして、普段から感性を養う努力が更にできたら、製造に従事する中で、より多くのアイディアなんかも生まれてくるじゃないかとか想像したり。

とにかく、僕の働く環境は、まだまだ昭和バブル期の24時間働けますか状態にありますので、体調管理には気をつけながら、旨酒製造に関わっていきたいと思います。

皆さんもくれぐれも健康第一で。