金賞杜氏の日本酒情報局

日本酒製造現場からの情報発信

日本酒の輸出について

本日うちの蔵にジェトロの人がきて、日本酒の海外輸出について意見交換をしました。
ジェトロの役割は、主にメーカーと現地のバイヤーとのマッチング。通訳や各国の制度に合わせたラベル作製等もやってくれたりします。

「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されたり、日本酒の輸出はこの先右肩上がりに伸びる!などの新聞記事をたまに目にする昨今ですが、日本酒の輸出の基本は間違いなく「国内市場と同じ」ように営業方法やプロモーション、そしてマーケティングを考える!です。

安易なニュースを鵜呑みにして、海外をなめてかかると失敗する。本日のジェトロの人もそう言っていましたが、僕も全く同感です。

そりゃそうでしょ?

酒屋さんに自社の酒を置いてほしけりゃ、本気で説明するし、足を何度も運ぶなどして誠意を見せますよね。
見事に酒屋さんの評価を得て、取引スタートとなった後も、定期的に蔵の情報を発信したり、酒屋さんのイベントのお手伝いを積極的に参加していかなきゃ、いつの間にか「最近注文こないねぇ・・・」になってしまいます。

海外展開も一緒で、それなりの計画性と経費を見込んで積極的に相手国に足を運び続ける覚悟がある蔵じゃないと、輸出は成功しないと。
すでに海外で順調に売上を延ばしている酒蔵も出てきており、この先、国内市場の縮小や飲酒人口の減少が明白な現在、海外に日本酒を売りたい!って考えは必然でしょうが、人任せ、安易な売り込みが通用するほど甘くないよねってね。

造り手自身も自分の言葉で想いや苦労話を発信することも大事だとジェトロさんはおっしゃいました。やっぱね、蔵の自慢話や社長自身の目標を語られるより、相手はリアルな声を求めるんでしょうね。
うちの社長の今日の対応を目の当たりに、より強くそう思いました。