金賞杜氏の日本酒情報局

日本酒製造現場からの情報発信

2019-01-01から1年間の記事一覧

2019大晦日、そして2020へ

いよいよ年末も押し迫って参りました。 本日は酒造りの通常業務を終了させた後、実家で親戚一同と2019年最後の一時を楽しんで参りました。 きっと世の中の多くの皆さんが思い思いの時間をお過ごしのことと思います。 年末だった言うのに「レバノンに逃げ…

今夜は忘年会。

うちの蔵は、31日の大晦日まで営業で、年明け4日が仕事始めというスケジュールです。僕は普段、車で通勤をしているんですが、今朝なんて日曜日ってことに加えて世の中いよいよお正月休みに入っている方々が増えているようでして、道はガラガラ。通常より早く…

酒母(しゅぼ)の種類について

仕事納めでいよいよ年越しモードになっている方も多いことと思います。 酒蔵も働き方改革の影響を受けて、年末年始を「なるべく」通常の会社員形態のシフトに近づけるよう努力が必要ですが、その中で酵母を培養する工程で「酒母」(しゅぼ)または酛(もと)…

杜氏と宿直

今夜は麹造りのため蔵に泊まりです。酒造りという仕事はどうしても宿直が伴いますので、各蔵ごとにそれなりの「宿舎」も整ってます。僕はこれまで4つの酒蔵で酒造経験がありますが、今の蔵の宿舎は、今風でキレイな和室に仮眠できるようになっていて、ユニッ…

最近の若いもん

僕、42歳の杜氏です。 日本酒の造り手の主力は30~40代がメインですから、丁度中堅どころって感じになるのでしょうか。 しかし、まだまだ昔気質の出稼ぎの親方で現役バリバリの方も多いので、そういうレジェンドからしたら息子や孫扱いされる程度なの…

杜氏さん達が今一番考えていること

皆さん美味しい日本酒飲んでいますか? 今飲まなきゃいつ飲むの? この時期、冷やも常温も熱燗も、全ての日本酒が「うめぇ~」って感じてしまいます。 でもね、個人的事情を正直に述べると、冬場って飲酒量減るんすよ僕。 僕が勤務する蔵と自宅は車で約20…

アルコール添加酒あるあるパート2

本日のテーマは昨日の続き。 昨日は醸造アルコールの全面否定はもはや議論に無理があるのではないかという見解を述べさせていただきました。 そんなわけで、今日はアル添の議論をもう少し掘り下げてみようと思いますのでどうかお付き合い下さい。 皆様、とこ…

アルコール添加酒あるある。

アル添酒、皆さん好きですか?日本酒のことをあまり詳しくない人のために、ちょっとおさらい。日本酒には米、米麹、水の他に原材料名としてラベルに表記しなければならない物品で、「醸造アルコール」といういわば、焼酎があります。醸造アルコールの原材料…

蔵人達のチャンピオンベルト。

何のこっちゃよくわからないタイトルをつけてしまいましたが今日は我々日本酒造りに関わる人間の働き方の様子について記していこうと思います。酒造りの現場は、日々お酒を運んだり、米洗いの作業や米の受け入れ等で重い物を運ぶ仕事がとても多いです。 ちな…

お酒造りとは?  尊いものである。

酒造りとはあなたにとって何ですか?僕はこれまで飲み手の方々から何度かこの質問をいただいております。飲み手の方々にも色々いらっしゃいまして、「杜氏」というポジションにかなりのリスペクトを表して下さる方、僕みたいな若手の造り手をそれほど信用し…

酒粕の今。

寒さがかなり増してきまして、朝、布団から出るのがマジでつらい!と感じている人も多いんじゃないかと思います。そんな寒い季節、酒蔵従事者として提案したいのは、酒粕を用いた飲み物やお料理です。酒粕っていうのは、ご存知の方も多いと思いますが、お酒…

賞与出ました!

先日のブログにて、杜氏のボーナスがいくら程度かどうか、という話題を紹介しましたが、今年の冬のボーナスが出ましたので再度取りあげたいと思います。まずは、ボーナスって支給してもしなくても良いし、支給額だって会社によってバラバラで、あくまでもう…

酒蔵増えるか!?酒税法改正。

お久しぶりです。先日、酒造業界にとって大きなニュースが飛び込んできました。これまで「清酒製造免許の新規取得」は、現実的に認められないという大前提があったのですが、「輸出用製造限定」にて、新規での製造免許を認めるとの大綱が国税庁より発表にな…

ボーナス出ましたか?

賞与を手にする人もしない人も、お金のことを話すって中々シビアな部分もありますから、あんまり話したくないなぁって人もいるかもしれませんが、やっぱり人間ヒトの懐事情って気になるものでしょうから、今日はボーナスについて語ってみたいと思います。日…

杜氏になるには。

めっちゃ寒いっすね~ 僕が勤務している蔵は関東地方にあるのですが、今日は底冷えでした。底冷えするのは、お酒造りにとって、決して悪い環境ではないので、まあ良しとしましょう。さて今日は杜氏になるにはどうしたらなれるのかという点について、語ってみ…

杜氏のメリット・デメリット。

このところ日常業務が忙しく、ブログが滞っていて僕自身、モヤモヤした日々を過ごしていました。日本酒業界の様々な日常を少しでも多くの皆さんに興味を持って頂けたら、と思ってブログをやらせてもらってますので今後ともよろしくお願いいたします。さて、…

12月の日本酒業界。

いよいよ12月。一年間の締めくくりを皆さんも様々な思いでお過ごしのことと思います。全国の酒蔵にとって、12月は一年間で一番売上が伸びる月としてとらえている酒蔵が多いと思います。うちの蔵も、月単位の平均売上の倍の売上を見込んでいます。木枯しが吹…

日本酒の新聞巻き販売。

今日は蔵人達に聞いたちょっとした話をご披露したいと思います。日本酒を新聞に繰るんでお店の陳列棚に並べて販売しているのを見たことありませんか?僕は今の蔵の他に、3つの酒蔵での酒造りを経験しているのですが、これまで偶然にもそういった装飾というか…

今夜は宿直。

麹が出来上がるまで約50時間くらい必要です。あくまでも、日本酒用の原料にする場合ですが。麹造りは日本酒製造にはかかせないもので、麹の出来不出来がお酒の善し悪しに直結すると言っても良いくらい。中には機械に頼った麹造りをしているメーカーもある…

消費税の影響は?

10月の消費税10%へアップされてから2ヶ月がたとうとしています。我々日本酒業界に従事する人間も、同業他社の影響は気になるところです。講習会や造り手の集まりなどで、情報収集したり。ニュースでは、12月の上場企業のボーナスの平均支給額が96万円の過去…

杜氏のガラパゴス化。

以前掲載された、毎日新聞の記事を紹介したいと思います。 以下のグラフはここ約50年の杜氏と蔵人の数の推移を表したものです。 世の中働き方改革だのロボット化だの色々議論がなされておりますが、青い棒グラフの減り方は尋常じゃないくらいの急降下を確認…

杜氏と風邪。

気温がだいぶ冷え込んできました。 本日は、体調管理のお話を。酒造りの世界では、特に繁忙期は仕込み計画の中で出勤の有無が決定するので、体の健康と心の健康はとても重要な要素の一つとなります。蔵人はまだ立場的にも受け身ですから、杜氏の指示やプライ…

杜氏の役割について

僕は30代前半で日本酒製造の責任者である杜氏(とうじ)の役職について、今年で12造り目のシーズンを迎えているところです。 本日は杜氏の仕事内容や役割について、あくまでも僕の現在の働き方が主になりますがすがご紹介していきたいと思います。 僕の働…

杜氏の出張。

今日は朝から仕込みを終えたあと、酒造講和会に出張でした。 毎年のことですが、この時期に各県のお酒の研究部門の先生方と国税局の酒類鑑定官の先生方、そして各地区の税務署の署員の方々と各県の酒造組合が合同で主催して、酒類メーカーや製造責任者を対象…

そもそも日本酒って?

本日のテーマはこれです! やっぱり原点回帰ということで、「日本酒って何ぞや?」というのを論じてみたいと思います。 国税庁管轄の酒税法に日本酒とは「米・米麹及び水を原料とし、発酵させ濾(こ)したもの」と定義されております。 一つ一つひも解けば、…

金賞杜氏((^_^))遅ればせながら自己紹介。

いくつかブログを公開して参りましたが、僕自身のことや「金賞杜氏の日本酒情報局」というブログの詳細について本日は話を進めたいと思います。そもそも金賞杜氏なんて、自分で名乗っちゃうなんて何とも大きく出たなぁなんて思っていますが、そこは大目に見…

日本酒の飲み方で気になること。

気温がいよいよ下がってきており、居酒屋や自宅で日本酒を楽しむ機会が増える人も多いんじゃないかと思う今日この頃です。 造り手としては、やっぱり冬は繁忙期の感がとっても強いので、酒場に繰り出す機会はそれほど多くはならないのですが、それでも仕事柄…

新米続々入荷中。

僕が勤務している蔵にも、今年も新米が入荷しております。 昨日のブログでは「新酒」について詳しく述べましたが、本日は「新米」について。 新米にも色々種類があって、普段家庭で食べるような「一般米」やら「飯米」と呼ぶものと、「酒米」「酒造好適米」…

ボージョレ・ヌーボー? ボジョレー・ヌーボー? ~新酒について~

結論としては、「ボジョレー」って気がしてますが皆さんはいかがでしょう? 何の話がしたいのかというと、「新酒」についてです。 ワインのボジョレー・ヌーボーは今月の第三木曜日(21日解禁)に今年もリリースされます。温暖な気候に大変恵まれ、良質なブ…

日本酒の年末年始について

寒さも感じるようになり、今年もいよいよ後半戦。年賀状どうしようとか、お正月の予定どうしようとか。 今日は日本酒の年末年始について語ってみたいと思います。 通常は1月~12月を一年間としたり、年度というくくりだと4月~3月といった具合でというのが一…