金賞杜氏の日本酒情報局

日本酒製造現場からの情報発信

ボーナス出ましたか?

賞与を手にする人もしない人も、お金のことを話すって中々シビアな部分もありますから、あんまり話したくないなぁって人もいるかもしれませんが、やっぱり人間ヒトの懐事情って気になるものでしょうから、今日はボーナスについて語ってみたいと思います。

日本酒業界は全体的に中小零細企業が多く、資金繰りや人件費にそれほど余裕がある蔵は多くはありません。

実際、他社の造り手同士で酒を飲む機会に、給料の話が出る時がありますが、いつも感じるのは「総じて横並び」な印象は否めません。僕らみたいに造り手同士で集まる機会があるってことは、蔵元さん達も同じでしょうし、立場は違えど同じような内容の情報交換をしているのは、容易に想像できます。

特に、近隣の蔵同士ならやはり突出した条件を出すと、その蔵に自社の蔵人が流出する怖れもありますから、何となく横並びにしておくということは、過度の人材流出、情報流出をナチュラルに防止する意味でも、蔵の都合としては、重要かもしれません。

酒蔵で働くことは、工場勤務に該当するので、そういった設備投資の多くかかる業種は、基本的にあんまり稼げないというのは必然的なのかもしれません。

ボーナスに関して、細かい金額まで他社の事情を記すことはできないですが、これまで3社を渡り歩いてきた僕の経験なら紹介できますので、参考にしていただけたらと思います。

もう20年も前の時代ですが、大学を新卒で最初に入った蔵は、僕が入社したのが4月で、その夏のボーナスから業績不振を理由に、賞与カットになりました。
ボーナスを夢見ていた僕にとっては、それはそれは残念な気持ちになりました。結局、その蔵には4年在籍していましたが、夏冬合わせて1度も賞与を手にすることはありませんでした。

やっぱりボーナスは欲しいので、次に移った蔵ではやっぱりボーナスをいただける蔵に行きたいとの希望を持って入社にこぎつけました。

その蔵では、とても残業が多く技術や知識はすごく身についてメリットがあり、いくら残業しても上限がある一定の額でカットされるというデメリットもありましたが、夏冬ともに基本給の1ヶ月×2の賞与は、いただくことができました。大体20万円くらいだったかな。

そして杜氏になった現在の蔵では、夏に35万、冬に35万程度の額をいただいております。

ボーナスは基本的には支給してもしなくてもいいという決まりになっているようですが、新聞紙上やニュースで取り上げられているような、上場企業の平均支給額、夏冬各100万円前後の額に比べると、相当かわいい額になってしまうのは、ある意味仕方のないことなのかなーと思っております。

あと付け加えておきたいのは、僕が今までお世話になった蔵での賞与の支給日ですが、一般企業に比べると2~3週間ほど遅れて支給されていると思います。

うちの蔵の今年のボーナスですが、例年通りの額は業績からいって支給されると思いますので、今年もおそらく今月の25日前後に支給されるのではないかと予想します。

同一労働同一賃金のニュースや、賞与を打ち切る企業のニュースなども散見しておりますので、日本酒業界としても、今後はますます厳しくなっていくことは容易に想像できると思います。
金賞をとったり、業績が良かったりすれば、多少の上積みは期待できなくはないですが、給料が上がりづらい、賞与が減っていく、そういう時代に突入しているのかもしれません。

やりたいことをやる、それはそれで素晴らしい事ですが、しっかりと実入りのことも考えながら、これから日本酒業界を志望する方などは就職活動の参考にしてください。