金賞杜氏の日本酒情報局

日本酒製造現場からの情報発信

日本酒の新聞巻き販売。

今日は蔵人達に聞いたちょっとした話をご披露したいと思います。

日本酒を新聞に繰るんでお店の陳列棚に並べて販売しているのを見たことありませんか?

僕は今の蔵の他に、3つの酒蔵での酒造りを経験しているのですが、これまで偶然にもそういった装飾というか、包装の一種というか、その類いに携わったことがなかったのです。

中には新聞紙で巻いてあるのを快く思わない消費者の方もいらっしゃるとは思いますが、まぁそれは置いておいて。

うちの蔵人のうち2人はそういった手法を採用している蔵での経験があるようでして、器用にもその巻き方にも芸術的な技術を必要とする作業なのは見ておわかりだと思いますが、酒蔵側として、重要なミッションとして、使用する新聞紙の記事の内容もしっかりチェックしてから使用しているそうです。

例えば、お悔やみ欄のあるページは使わないとか、わりとセンセーショナルだなと感じる事件、事故などが掲載されているページは使わないとか。

それらの判断基準は中々難しいらしいのですが、確かにそういった記事が書いてある新聞紙を巻いている酒瓶は手に取ろうとは多くの人は思わないでしょうね。また、つい買ってしまった人なんかは、ちょっと微妙な心境に陥る可能性もあるかもしれません。

酒蔵で働く仕事として、良し悪しは別として中々今となってはレアな仕事内容ではないかと感じでおります。

新聞紙を採用するお酒のタイプですが、季節限定系の生酒なんかが多いようです。日本酒は紫外線や高温に弱いため、新聞紙ってそれらを遮るには一番手っ取り早かったのかもしれません。

ただ最近は新聞をとる家庭が減っているらしいですし、うちなんか中小零細ですから、会社で新聞を取る、なんて福利厚生も夢のまた夢って感じですから、新聞紙を確保すること自体、苦労が伴うように変わってくるのかもしれません。

いずれにしても、そんなこんなな事情で新聞巻きに関してはやっているようですから、店頭で並んでいる日本酒を今度別の角度から眺めてみるのも面白いと思いますよ。