杜氏のメリット・デメリット。
このところ日常業務が忙しく、ブログが滞っていて僕自身、モヤモヤした日々を過ごしていました。
日本酒業界の様々な日常を少しでも多くの皆さんに興味を持って頂けたら、と思ってブログをやらせてもらってますので今後ともよろしくお願いいたします。
さて、いよいよ本題へ。
今日は杜氏という仕事をちょっと俯瞰で観察しつつ、この立場の面白い部分や辛い部分などについて語ってみたいと思います。
特にファンの方には、僕はちょっと物珍しい眼差しで見られたり、ある意味尊敬の念を抱きながらお酒に対する質問やら感想を話してくれたりすることがありまして、そういう時はやはり「この仕事をやっていてよかったな」って素直に思います。
杜氏って立場に対して、そういう人は昔ながらの杜氏像である頑固者だったり、強面気質的なちょっと近づきにくさみたいな印象も持ち合わせているようですが、今の杜氏の主要な年齢層は30歳~50歳がメインですから、まだまだ十分若いじゃんて感じなんですけどね。
でも、何となくでも勝手なイメージでも杜氏って仕事に興味を持って頂けたのなら嬉しいですけどね。
20台の若い人なんかで、日本酒に興味が全くない人には、「もりし?」「とじ?」とか言われちゃいますから。
ちなみに僕の名刺には「製造部長 杜氏」って役職が書かれてます。日本酒業界の独特な部分が何となく伝わりますでしょ?
製造部長も杜氏も同じじゃないんかい?って僕も正直そう思ってます。
名刺の役職ですから、あくまでも会社の意向としてそう書かれてますので、そう承知していただけたら。
あと、たまにグルメなファンの方に言われて困るのが、「杜氏ってお酒の味を決めるわけで、美味しい料理も幅広くご存じでしょうから、料亭通いも多いんですか?」みたいな話。
「そんな日常を送っていたら破産すよ」
杜氏ってぶっちゃけそんなに高給ではないですよ。製造部長って肩書きでも、大手上場会社の役職に就いてらっしゃる人に比べたらかわいいもんです。きっと係長とか課長補佐クラスの給料が主流と思います。
これはね、オーナー杜氏か社員杜氏かでもかなりかわると思いますので、どこかで詳細は語らせてもらえたら。
話を戻しますが杜氏をやっていてメリットだなあと思うのはやっぱり搾りたてのお酒を利き酒をした時に1番の最前線でのリアリティーを感じられるというところではないでしょうか。
やっぱり自分がどういうお酒にしようかとプランニングをして実際にお酒にしてみたときに、そのお酒が良くてもそうでなくても、すべて自分の責任に降りかかってきます。そこがやりがいでもあるし、悩んだり、我慢が必要になるところであります。
その他としては、冬場仕事が忙しくなってきた時に、どうしても体がしんどい時がきます。そういう時は、蔵人を優先して休ませたりするんですが、正直、自分が休みたいんだけどなあと思う時もあります。
酒造りはチームワークなので、人間関係を有効に保ち続けることは最優先事項です。
そんな時、杜氏自ら率先して自己犠牲を図れるかどうかは、みんながよく見ていることですから辛いところですが重要なところだと思っています。
結構ストレスのたまる仕事だと思いますが、1番のやりがいはファンの人達のおいしかったよって言ってもらえること、これが何よりの造り手冥利でしょう。
色々と語ってきましたが、今回はこの辺にしとこうと思います。そろそろ製造場の見回りに行ってきます。おやすみなさい。